6月15日:あるラーメンの日記

 ぼくはラーメン、今日も厨房で料理長とその弟子に引っ掻き回されて、完成されてお客さんのもとに出荷される。ぼくもラーメン、たくさんの調味料とお湯、そして麺、さいごにすこし具をのせて、ぼくはラーメンになって、食べられる。ぼくもまたラーメン、たまにこぼれて、床のシミ。ぼくはラーメン、食べられたら川に流れて、また海になる。ぼくはラーメン、ぼくは海。ラーメンとして厨房で産まれる。そしたら今度は海になる。海からぼくはまたラーメンになる。いつまでもラーメン、ぼくはラーメン、料理長とその弟子の手にかかれば、ぼくはいつでもここのラーメン。ぼくは海。蒸発すれば雲になる。ぼくはラーメン。地上に降れば麦になる、ぼくはラーメン。ぼくは海。ぼくは麦、ぼくは植物、ぼくは醤油、ぼくは動物、ぼくは人間。ぼくはラーメン、そして海。