3月9日:引用

まるでごみ屑のように,でたらめに寄せ集められたものから,この最美の宇宙秩序が。

ヘラクレイトス 断片B124 DK

 重たい話を散々書いて,結局消してまた筆をとっている。今日はちりぢりの睡眠をしたので昼前まで眠りこけ,せっつかれるように市の図書館に行った。自分で縫ったスカーフを巻いて。
 生まれて初めて岩波から出ているアリストテレス全集を手に取ったのは中学2年生の頃だった。奇妙な経緯から,というのは,まずドストエフスキーに出会い,そこからショーペンハウアー,ついでニーチェに至ってから,アリストテレス全集を手に取った。そこでヒュームやカントに行かず,アリストテレスに手を出したのは偶然ではない。ニーチェはあまりにも論文的な哲学を目の敵にして,手ひどく批判していた。一方で,彼は文献学者であって,対象は古代ギリシャであった。ニーチェの言葉で哲学に導かれた私のまなざしは,より先進的な議論よりも,より根本的な議論に向けられることになった。なにもわからないままに,ひたすらに全集を読み続けた経験は,今になって貴重なものだった。今回手に取ったのはアリストテレス全集16巻,「大道徳学」と「エウデモス倫理学」が併せて入っている巻である。ニコマコス倫理学は文庫化されていて広く読まれているが,こちらの話は入門書でもあまり触れられていないような気がする。冒頭の引用は,ついでに借りてきた本たちから引いた。平凡社ライブラリーの『ギリシア詩文抄』からの孫引きだ。京大出版会の『ギリシア合唱抒情詩集』と見比べて,どっちもいいなと思ったけど,カバンがあまりにも小さいので前者にした。

 で,だから退屈な文章を書くのが許されるとでも?昭和軽薄体は?いつもこうやって大事なことを忘れるんだ。歩いているときにオーケンのことを考えたり,KISSのボディバッグを身に着けていたオジさんがいて,たまたま今日はKISS"UNHOLY"のエゲつないTシャツの上にセーラージェリーが古着をリメイクしたイケイケのジャケットを羽織ってたってのでテンションがあがりました~!とかそういうことを書けばいいじゃん。そういう気分じゃないって?そっか...。